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かみつけの国 本のテーマ館
          特別寄稿
読書のすすめ



                                  東大比較文学研究会会員
                                  湯川懇話会会員
                                     柏 木  武 史


 飽きもせず懲りもせず“読書”をすすめている。
 当然のことながらどうせ他人サマのことだ、余計なお節介は無用に願おう、という御仁も現れ
ることだろうと思う。それでもよいのだ。すくなくともこの文を眼にされた方は読書に関心があ
り、何かしら本を読むのが好きという人達であろうからだ。そんな方にこの一文を読んで貰いた
い。
 読書そもそもの始まりは人それぞれ、方法も条件も違っているだろう。いま巷に本は溢れて
いるが昨今は活字離れが激しいと聴いてかなり経つ。I T 革命の時代、ヴィジュアル系が幅を
利かせているのは必ずしも少年少女だけのことではないらしい。それでも敢えて云う。読書は
最上最良の楽しみのひとつであると。
 孤独で上品な趣味と常々私は思ってきたが、中々そんな生易しいものではない。
 多くの文豪と技術者と科学者とその他諸々人間の全てが散在する“本”の中にとじこめられ
ている。その中から何を選び、何を見つけ、何を習うか、それこそ各人の目的に依って自由で
ある。
 私などは雑学、雑読で実に六十数年が経つ。恥かしながら今もって方向が定まっていない
が、一冊の本、一人の著者、それぞれに一期一会が有る。そして何よりも嬉しいことは読んだ
分だけ心が豊になるということだろう。
 時間をもてあます、なんて人間は読書家には一人としていない筈である。
 高齢化社会という、暇をもてあますご老人には多分最上の楽しみが読書にあることを見つけ
て欲しいものだ。予測し難い明日を生きる糧として読書はまたとない薬であるのだ。

 渋川に来て十年が過ぎる。出不精と云うか暇さえあれば片時も本から離れることのない毎
日。これは習性で幼時から続いているのだが。そして足繁く通う書店はわが町の正林堂であ
る。昨今の出版社とその販売傾向は何故か大都市、大型店優先とうイヤな傾向が目につく。
その結果、早くと思うムキはついそちらの方に足が向いてしまうだろう。あらゆる地域で活性化
の掛声だけは勇ましく聞えるが、果して自分の町、自分の地元に活力を与え得るのは自分達
と考えている人間はどれくらい居るだろうか?
 書店も同じである。近隣の誼みというだけでなく私はかなり難しい注文を出すが“可及的且つ
速やかに”がモットーであるかして正林堂にお願いする限り間違いなく届く。平均して一ヶ月も
かかるというのが普通だったが、今は長くて十日、早ければ二、三日で届く。その点正林堂の
皆さんのご苦労は大変である。検索しまくり、電話にかじりつき、という状況を度々見かけて頼
んだ方が恐縮する。二十年以上も前に出版された本、果して有るかどうか、頼む方は覚束な
いが、だいたい確実に入手できて誠に有難い。出来うれば地元の諸氏がもっと幅広く正林堂を
活用して頂き、色々な読書のサークルが花開いてくれると嬉しいと私などは密かに願ってい
る。
 書籍を愛し、書物に理解があり、熱意を以って客と仕事に誇りをもって働いている正林堂の
皆さん、本当に有難う。

                            

 尚、正林堂の名誉のために一言すれば
 いついかなる時にもプロパガンダを依頼されたわけではなくて、自分が常に思っている気持
ちを正直に書いたまでのこと。同店の“信用度”は私などがとやかく云った処でビクともする処
ではないのだが、念のため附言することにした。
 地方の文化に書籍を販売することで渾身の努力を尽しているひたむきな書店もあるのだ、と
つくづく思っている。





【店長より】
 この原稿を頂いたとき、些か困ってしまった。
 柏木さん、これはいくらなんでも誉めすぎですよ。まだ、お店の改革をはじめて1年あまりで、
まだまだお客さんには失礼なことばかりしている毎日。自分とこのホームページにこれを載せ
るのはちょっと度胸がいる。でもせっかく書いていただいたものを勝手に載せないわけにはい
かない。
 腹くくって載せると決めたからには、補足をしておきたい。 
 
 1、お客さん注文の品が入荷するまでの日数について
     これは昔から書店業界の大問題でした。
     当店の昨年の統計をお知らせします。
        ・ 一週間以内で入荷  49% 約5割
        ・ 10日以内で入荷   81% 約8割
        ・ 2週間以内で入荷   92% 約9割
     最近ようやく e-honやブックライナーでの注文が増えてきて、三日で入荷の比率が少し
   ずつ高くなってきていますが、基本は上記のデータを目安にしてください。
     取次ぎ(問屋)までの、入荷予定はわかっても、何日に店に届くのかお客様にお約束 
   できないのが、致命的問題です。


 2、検索サービスはようやく全員が対応できるようになりつつあるところです。
     現在の書肆データは、コンピュータで検索したからといって、決して完全なデータでは 
   ないのが実情です。利用するデータベースによって、同じキーワードで検索かけても、出て
   くるデータはまだまだ千差万別。ほんとうの必要な情報にたどりつくには、利用できるあら
   ゆるデータベース(ほとんど他社のもの)にアクセスして検索しまくらないと、迂闊に「それ
   はありません」といっても結果的には嘘を言ってしまうこともしばしば。
     すべての情報はその瞬間情報であって、朝は「在庫なし」の情報だったのが夕方には
    「在庫あり」になっていたなんていうのは当然あるわけで、お客さんの緊急度に応じて喰
   らいついていくしかありません。

 


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読書のすすめ その2
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